自分を信じ、自分を愛する

生きていくうえで、さまざまな悩みごとが起こるのは避けられない以上、私たちはやはり、「悩みを受け止めることができる」心の状態をきちんとつくっておくべきだと思います。
それでは、私たちはどうすれば、そのような心の状態をつくることができるのでしょうか。
はじめに、1つの寓話をご紹介します。

〈ある小さな町に、とても貧しい少女がいました。早くに父親を亡くし、母親と2人でその日暮らしの生活を送っていました。
友達が身につけているような可愛い洋服も、おしゃれなアクセサリーも自分は持っていない。彼女はそんな自分に強いコンプレックスを抱いていました。
少女が18歳のクリスマスの日、母親が彼女に20ドルを渡し、クリスマスプレゼントを買うように言いました。はじめてのことだったので、少女はとてもうれしかったのですが、貧しい身なりで大通りを堂々と歩く勇気がなく、人ごみを避けるようにして、壁沿いを歩きました。
「自分はなんてみにくい人間なんだろう」。
そう考えて悲しくなっていた彼女の目の前に、突然、店のショーウィンドーに飾られていた素敵なヘアバンドが飛び込んできました。ふらふらと誘われるままに店に入ると、親切な店員が笑顔で出迎えてくれました。
「お嬢さんの亜麻色の髪はとても素敵ですね。このヘアバンドはとても似合いますよ」値段は16ドル。彼女はいままでにそんな高い買い物をしたことがなく、一瞬ちゅうちょしました。だが、ヘアバンドをつけ、鏡に映った自分を見て、彼女は驚きました。
そこには今まで見たことのない美しい自分がいたからです。思いきって彼女はお金を出し、おつりを受け取るとすぐに店を駆け出しました。一刻も早く、お母さんに美しい自分の姿をみせたかったのです。彼女はうれしくなって、走っている間にも自然と笑みがこぼれてきました。
突然、大通りで、少女は憧れだったクラスの同級生の男の子に出会いました。驚いたことに、その男性が、彼女をパーティーのパートナーに誘ってくれるではありませんか。
「これもヘアバンドのおかげだわ」。
夢のような気持ちで、彼女は家に戻り、お母さんに一部始終を報告しました。話を聞いたお母さんもうれしそうに言いました。
「そうかい、それはよかったねえ。ところで、そのヘアバンドはどこ?」
彼女は、店を出る時にヘアバンドを落としてしまっていたのでした。〉

おわかりでしょう。
少女の悩みを解決したのはヘアバンドではなく、彼女が取り戻した「自信」だったのです。
過剰な自信は往々にして人間を誤った道に導きますが、逆に、自分の能力や価値をまったく信じられない人間は、いつまでも自分の苦悩や悲しみから逃れることはできません。
私たちは、まず自分を信じ、自分を愛してあげることからはじめるべきです。
これが、「悩みを受け止める心もつくる」ポイントその1です。

                         -----于 丹「論語力」-----

 

 

 

私達は、辛く悲しい出来事など、目の前に起こってしまったことそのものを変える力を持ってはいません

しかし、起こってしまったことをどのように受け止めるかは、私達が自分の意志で決められるのではないでしょうか

そして、自分なりにその現実をしっかり受け止め、自ら改善すべきは改善し、前へ進む中で、本当は何が辛いことで何が幸せなことなのかがわかってくるのだと感じました

                                                                            オーチマン